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SPECIAL

映画をごらんになった方々から「難しいといわれる『歎異抄』がとても分かりやすく、そして感動的に描かれている」という感想をたくさんお寄せいただいています。
その肝となっているのが「脚本」です! 映画において脚本は、作品を評価するうえでとても重要な部分です。そこで! 「歎異抄をひらく」の素晴らしい脚本を書かれた和田清人さんに、お話を伺いました。和田さんは前作「なぜ生きる」の脚本も手がけていらっしゃいます。
今作の制作エピソードや前作との違い、脚本を書き終わって改めて感じた『歎異抄』の魅力について語っていただきました。

 

面白いけど難しい『歎異抄』への挑戦!

 

『歎異抄』を題材に脚本を書いてほしいと依頼された時はどう思われましたか?

和田:
やりがいを感じると同時に、難しい仕事になるだろうと思いました。

和田さんはまだお若いですが、『歎異抄』をご存じでしたか?

和田:
有名な一節「善人なおもって往生を遂ぐ、いわんや悪人をや」は知っていましたが、本文を読んだことはありませんでした。

『歎異抄』という本についてどういう感想を持ちましたか?

和田:
面白いけれど難しい、と思いました。

『歎異抄』の中で特に印象に残っている一節とその理由を教えてください。

和田:
「親鸞は弟子一人ももたず候」です。
人間はどこかで「尊敬されたい」「評価されたい」という下心があるものだと思いますが(少なくとも私にはあるのですが)、親鸞聖人にはそんなよこしまな気持ちが一切なく、ひたすら真剣に、謙虚に仏法と向き合われていることに感激しました。

『歎異抄』の魅力はどういうところだと思われますか?

和田:
文章の切れ味ではないかと思います。回り道をせずに本質をズバッと突く言葉に惹かれるのだと思います。

 

『歎異抄』の難しさを、唯円の成長譚の中でやさしく解き明かしていく

 

ストーリーの構想はどのように行われたのでしょうか?

和田:

資料を読み込み、唯円がどんな人物であるかを想像することから始めました。唯円の成長譚にすることで、観客の方が主人公とともに仏法の世界を発見していくような構成にしました。

物語を作るにあたっていちばん意識したことや大切にしたことはどういう点でしょうか?

和田:
難しい書物なので、なるべく平易な言葉を使うように意識しました。

ご苦労された点はどの辺りだったでしょうか? 具体的なシーンなど教えてください。

和田:
終盤の展開に苦労しました。特に、親鸞聖人が『歎異抄』第9章の内容について語る河原のシーンが難しかったです。私自身も第9章の意味を掴み切れていなかったからだと思います。

前作「なぜ生きる」も担当されていますが、その時と今作では脚本を書くにあたって、何か大きな違いや意図的に変えたいと思った点、用いた手法などはありますか?

和田:
「なぜ生きる」の時は既にベースになる脚本があったのですが、今回は一から物語を構築する作業でしたので、「聴きやすく」「分かりやすく」という所に気をつけました。具体的に言うと、前作は蓮如上人のご法話のシーンが長かったので、『歎異抄をひらく』ではエピソードや自然な会話の中に親鸞聖人のお言葉を散りばめるようにしました。

 

『歎異抄』を読んだことがない人にも楽しんでもらえる物語に!

 

劇中の燈念のように嫉妬に悩んだことはありますか?

和田:
もちろん今もありますが、若い頃は「誰かに認められたい、評価されたい」という気持ちが強かったです。学生時代、サッカー部のレギュラーから外された時などは悩んでいました。

唯円がプロポーズするシーンがありますが、これからプロポーズをする方へシチュエーションや、いいフレーズなどアドバイスがあればぜひお願いします。

和田:

プロポーズのシーンを書いたのは、たぶん初めてだと思います。シチュエーションもフレーズも2人の関係性次第だと思うので具体的なアドバイスは難しいですが、今作に関しては、日常の中で不意にプロポーズをさせました。

実際にスクリーンで鑑賞した時の感想をお聞かせください。

和田:
まず無事に完成したことにホッとしました。あとは、声優の皆さんの演技、音楽が素晴らしいと思いました。

観客の皆さんに見どころを含め、メッセージをお願いします

和田:
この仕事の話を頂いてから、はじめて『歎異抄』の全文を読み、勉強しました。以前の私のように『歎異抄』を読んだことのない人でも楽しめる映画になるように心掛けたつもりです。見どころというか、いちばん好きなのは、親鸞聖人が大人になったアサと再会するシーンです。
ぜひ劇場でご覧ください。

 

 

和田清人(わだ きよと)

1982年生まれ。東京藝術大学大学院映像研究科修了。主な脚本作品は、映画『ギャングース』(2018)、映画『体操しようよ』(2018)、テレビ番組「衝撃スクープSP 30年目の真実 ~東京・埼玉連続幼女誘拐殺人犯・宮崎勤の肉声~」(2017/フジテレビ)。